テクニカルアーティストについての記事をいくつか見つけました。その2
URSの記事をほったらかしなんですが、テクニカル・アーティストの事で、また面白い記事を見つけました。
http://www.inside-games.jp/article/2009/03/25/34380.html
これも今年のGDCでのセッションだったみたいですが、今までの記事とは違ってベンダー側からの視点で書かれている内容のものです。そこで定義されている、テクニカル・アーティストの役割が物凄かったので、下記に引用してみました。
1. リーダーとして、他のアーティストがもっとテクニカルになる手助けをする
2. リーダーとして、優れたアーティストとして同僚を手助けし、開発プロセスを理解する
3. チームプレイヤーとして、開発効率の向上やより良い選択肢/結果の追求を行う
これ、アーティストを指揮しつつ、テクニカルな知識もあって、現場作業も出来る。いうなればパーフェクト超人ですね。実際、こんな人いるんだろうか…。ただ、記事の後半にまとめられている、シチュエーションごとの、テクニカル・アーティストに求められる役割ってのが、非常に分かりやすかったです。
1.アウトソースの経験のないクライアント
テクニカル・アーティストはクライアントとのフロントに立ち、情報の取捨選択をして無茶なことを言うかもしれないクライアントからメンバーを守る必要がある。
この言葉通りの事をやるには、アーティスト、プログラマの両方の知識が確実に必要なので難易度の高い役割ですね。テクニカル・アーティストと漠然と言っていましたが、その人達をまとめる、テクニカル・アーティストの長は、ここまでやっていかないといけなそうですね。
あと、上記の言葉は、「クライアント」を「プロデューサー」とかに変えても理解できる話ですね。非常にわかりやすい。
2.助けて!あれが動かないの!!
開発中のトラブルは能率を低下させる。テクニカル・アーティストは内部のヘルプデスクとしてトラブルを解決する手助けをする必要がある。ExigentではphpBBを改造した社内BBSでQAを公開。
3.全てのプロジェクトは全て異なる
パイプライン、ツール、必要事項は常にプロジェクト毎に異なる。テクニカル・アーティストは先頭に立って、新しい技術をスタジオに導入していかなければならない。Exigentではwikiで情報を公開。
この二つはよくわかります。最近自分の頭の中でイメージが作られてきた、テクニカル・アーティスト像にぴったりです。主にDCCツール内のテクニカルな部分に特化する感じでみんなに広めていく感じでしょうか。アーティストから派生してテクニカル・アーティストになるルートを辿るのであれば、この辺りがメインの作業となりそうですね。非常に納得できます。
4.業界に歩調を合わせる
ゲーム開発手法は常に進化を続ける。テクニカル・アーティストは常に最新動向をチェックし、より効率的で品質の高い作業ができるように動く必要がある。
6.もう何回もやったよ
でも業界は常に変化していて、全く未体験の作業がある可能性も。テクニカル・アーティストはそういった必要に迫られたメンバーを手助けする必要がある。
この二つは、パイプラインに関する項目でしょうか。新規技術をパイプラインに取り入れる役割と整備する役割、両方を担う。ここまでくると、上記2・3よりもゲームプログラマと協力しての作業が必要になってきそうです。ゲームプログラマはどういう形式のデータが必要なのか、アーティストはどういう形式が扱いやすいか、どういう表現を求めているか、お互いの求める形式の摺り合わせが必要になってくる難易度の高い役割ですね。これは中々大変そう。でも、まだ想像はできます。
5.アートチームがない!
クライアントによってはアートチームが小さすぎるか経験のあるメンバーがいない場合も。テクニカル・アーティストはパイプラインの設計や最終的なアセットの制作を行う必要もある。
これはテクニカル・アーティスト自身も作業するって事ですね^^;まぁ元がアーティスト出身って人は、データを作るのが好きですから、この項目に関しては、なんの不満もない。ただ、上記5つの項目をやりつつって事になると話しは別。自分でデータをいじる時間はあるのかな?かなりの腕前で、作業スピードも神の域に達していないと難しそうですね。
と、記事を読み解いてみました。
非常に納得出来る内容ですが、コレだけ出来る人材って、各社に何人いるのでしょうか?ちょっと疑問が沸いてきました。ただ、各項目については具体的にわかりやすいシチュエーションでまとめられていたので、目標に置くにはちょうど良いかもしれませんね。テクニカル・アーティストを目指す人には、会社での動き方の参考にはなります。
個人的にも、CEDEC終わりから急速にテクニカル・アーティストに興味が出てきてますが、調べれば調べるほど面白いですね。あとは、今の開発現場には、きっちりした肩書きと、役割を明確にした立場を用意したほうが良いってのは、だいぶ実感してきました。これからも、積極的にテクニカル・アーティストを調査していきます。個人的にも興味ありますし。