「ビジュアルアーツ分野 / アニメーション」 の読み解き

先日の「ビジュアルアーツ分野/レンダリング」に引き続き、アニメーションの項目も読み解いてみました。
ここは、動画がたくさんみつかったので、レンダリングよりは読み解き易かったです。

アニメーション
<最新>

  • ハイレベルモーションキャプチャ
    • パフォーマンスキャプチャ、フェーシャルキャプチャ
  • 剛体物理シミュレーション、物理ベースモーション生成

<数年後>

  • 高度DB検索をベースにした、インタラクティブモーション
  • AIベースのモーション生成
  • 高度な物理シミュレーション(破壊、流体、筋肉、軟体など)
ハイレベルモーションキャプチャ(パフォーマンスキャプチャ)

指も・顔も・体も一緒にモーションキャプチャしましょうよ、というのがパフォーマンスキャプチャと言うそうです。調べてみたら、ポーラー・エクスプレスからの採用だったようで、映画などでは採用例も増えてきているようです。ゲームで言うと、ヘブンリーソードのモーションキャプチャが、体の演技と顔の演技を同時に収録しています。

ただ、Vicon社のHPでは、スタジオにセットを組んで行う、精度の高いモーションキャプチャも、パフォーマンスキャプチャとしているようで、定義としてガッチリ決まっている感じでも無さそうです。上記、2つの定義を合わせると、役者の演技を余すことなく、データにしましょうってのが、パフォーマンスキャプチャの大枠の考えかなと思います。

ハイレベルモーションキャプチャ(フェーシャルキャプチャ)

上記パフォーマンスキャプチャでも、フェイシャルキャプチャは行っていますが、ここでは個別で収録するものを指しているようです。最近のタイトルで思いつくのは、バイオハザード5がフェイシャルキャプチャを行っていました。

バイオハザード5の製品版に付属していたメイキングDVDに収録されている、モーションキャプチャ風景を観ていると、収録は2段階で行われているようです。

  1. セットを組んでのモーションキャプチャ、表情はビデオ撮影
  2. アフレコ収録と、フェイシャルキャプチャ

これを観ると、バイオハザード5もパフォーマンスキャプチャと分類しても良さそうな感じですね。定義が微妙に難しい…。



高度DB検索をベースにした、インタラクティブモーション

ここの項目はかなり怪しいです。

パッと思いついたのですが2つ。1つ目がキャラクターの状況によって、複数のモーションをブレンドする高度なモーションブレンド。もう1つが、状況によって読み出すモーションを変更する、群衆の表現。

1つ目の高度なモーションブレンドに関しては、NBA07でやっていた、ユーザーの入力によって複数のモーションをスムーズにブレンドさせる方法と、CryEngine2のDemoのProcedural Motion Warpingがイメージとして浮かびました。

群集に関しては、下記でも取り上げている、Unreal Engine 3.5で採用されている、Crowd Simulation。

うぅん、ただ何度考えても、この項目は怪しい…。

AI ベースのモーション生成

これは多分、Enphoriaの事でしょうか。Enphoriaを端的に説明すると、意思を持ったRagdollと考えるとわかり易いと思います。ビヘイビアと呼ばれるAIによって、状況にあわせたモーションを生成してくれる技術で、Grand Theft Auto Ⅳ、Star Wars: The Force Unleashedのエンジンに採用されています。(GTA4遊んでるときは全く気づきませんでしたが…。)


高度な物理シミュレーション(破壊、流体、筋肉、軟体など)

ここで書かれているいくつかの表現はDirectX11以降の、柔軟なジオメトリ制御を対象として書かれていると思いますが、現在でもRed Faction: Guerrillaで、ノンリニアの破壊が実装されていたり、Unreal Engine 3.5のDemoでは、軟体・流体・破壊なども見る事が出来ます。

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筋肉については、Fight Night Round4でやっているようです。(KO時の顔が波打って、グワワーンってなるのを探してたら、体の筋肉そのもののシミュレーションが引っかかってきました…。やってるんですね、すげぇ。)


という感じで、アニメーションを読み解きましたが、自分の専門分野という事もあり、ワクワクする技術がたくさんありますね。特に軟体や筋肉など、キャラクターのシルエットが変化する技術は、CG特有の硬さを軽減してくれるものなので、個人的には早期の実装を期待したいなと思います。あとプレイヤーとしては、破壊はドンドン進化して欲しい。ゲームデザインと結びつかないと飽きが早い技術ですが、単純にカタルシスを与えてくれるので、上手い使い方を考えてみたいところです。

やはり、アニメーションに関わる項目は、ユーザーのプレイに対してどれだけインタラクションを返せるかって所が重要なんだと思います。シミュレーションにしても、AI ベースのモーション生成にしても、画面に映る世界を、手触りとしてどうビジュアライズできるかが鍵だと思っています。

作り手としてもプレイヤーとしても、期待したい技術。定期的に調査していきたいですね。