明後日(9日)、とある集まりに参加するため、DCCツール関係の情報を集めていたのですが、そういえば以前からバンダイナムコさんのABCシステムの事が気になってたけど、全く調査していなかったので、幾つかのWEBや書籍を引っ張ってきて、整理してみました。
参考にした資料はこれら。
参考にした資料
- CEDEC 2008公式 - バンダイナムコゲームスにおけるアセット管理・コンテントパイプラインに関する取り組み
- 【CEDEC 2008】バンダイナムコゲームスのアセット管理への取り組み
- CGWORLD 2008年1月号 vol.113 - エースコンバット6 イベント&エフェクトビジュアル
- CGWORLD 2008年11月号 vol.123 - ツール・ド・ゲームグラフィックス ソウルキャリバーⅣ
- タムタムの日記 - CEDEC2008 1日目の感想
今までキッチリ調査した事がなかったんですが、このシステムはMayaで扱うデータをメインにバージョン管理を行い、それらをWEBで情報一覧するツール群の集まりで、ゲームで使うデータを全て管理しているわけではなかったんですね。普通に勘違いしていました…。
というわけで、簡単に情報を整理してみました。
ABCシステムについて
ABCシステムは、「Alienbrainによるバージョン管理の機能」と、「膨大な物量のリソースをMayaのBrowserで管理するデータベース機能」を組み合わせたもの。
次世代機開発でネックとなりがちな膨大なリソース管理の上での、ファイルネームや更新作業などで発生するヒューマンエラーを可能な限りなくし、より効率的に高品質な制作活動を行うのをコンセプトとして、生み出された。
ABC システムの歴史
- 2003年 PS2「DEATH BY DEGREES」で「リソースセンター」と言うものが作られる。
- 2006年、「ABCシステム」誕生
- 名前の由来は、「Alien Brain + Convert Central(コンバートセントラル)」
- 採用タイトルは、ソウルキャリバーIV、ソウルキャリバー レジェンズ、エースコンバット6、アイドルマスター
- PHP+MySQL
- 2009年「ABCシステム」は、主要プロジェクトだけでも10以上で採用がされていている。
ABC で管理したデータ
ソウルキャリバー4を実例とすると、下記のデータを管理されていたようです。
- ゲームモデル用 Mayaシーン
- キャラクタークリエイション 2500
- 武器 50
- ステージ60
- モーション
- 格闘モーション 35000
- フェイシャルモーション 1200
- カメラモーション 100
- 共有ライブラリ
- のマールマップやモデルのライブラリ 300
- 2Dデータ
- レイアウト情報 30
- 画像 30000
- デモ用Mayaシーン
- デモ・キャラ・ステージ・カメラ・ライト等 1000
なぜバージョン管理ソフトは、Alienbrainなのか?
- Alien brainを採用したのはチェックインが速いため
- このほかに、Alienbrainは、他人の作業(品質・進捗)を把握できるメリットがある
ABCシステムは、Maya専用?
ここは、調査不足なのですが、手元にある資料だと、MAYAでの管理としか記載されていませんでした。また、CGワールドに掲載されていた図を簡略化して下記に載せてみましたが、「Motion Builder」からのラインがABCに繋がっていないので、特定のツールからでしかアクセス出来ない可能性もあります。
ただ、上記ソウルキャリバー4の実例で"モーションデータ"の管理について書かれているのですが、この作品はSoftimage(当時XSI)で作成されていたはずなので、何かしら別のフローで管理を行っていたのか、そもそもSoftimageからABCシステムにアクセスできる仕組みがあったのか、どちらかの手法を取られていたのかもしれません。
この辺り、現在は消滅してしまった、Avidのユーザー事例で掲載されていた、アイドルマスターの記事にその辺りが書かれてていたような気がしなくも無い…。SoftimageのNetViewを使っていたような、いなかったような。うぅん。
追記:2010/02/09(01:15)
コメント欄にモチオさんから情報いただきました。やはりSoftimageでは、NetViewを利用してAlienBrainと連携されていたようです。Maya以外でも使えるようになってるんですね。なるほど。
まとめ
上記、あくまで2008年〜2009年にかけての資料に掲載されているデータから引っ張り出してきたものなので、現状ではもっと進化していると思います。また、ABCシステム自体もフレームワーク化しているようなので、複数のプロジェクトで利用可能だったり、従来想定されていなかったような、仕様書の管理なども行われており、利用の幅も広がっていっているようで、データ管理の中心的なツールになっていっているようです。
これはうちの会社も(”べき”って言葉は使いたくないけど)見習うべきだと思う。なんかプロジェクト毎に毎回管理ツールを作っているみたいだけど、はっきり言ってそれは無駄すぎると思った。ゲームエンジンを共通化する前に、こういう部分を共通化した方がいいんじゃないの?
また、タムタムさんのブログでの感想はまさにその通り、プロジェクト毎に新規でアセット管理ツール群を作るのも馬鹿らしいし、データの管理の仕組みを共通化する方が先ですよね。まぁ、そうなりにくい事情も分かりますが・・・。
てな感じで、ABCシステムを調査してみましたが、考え方として学べる所ありますね。また自分なりの考えまとめて、社内でも話してみましょうか。