GDC2010報告会「ソーシャルゲーム関連紹介」

昨日東京大学で行われた、GDC2010報告会に参加してきました。

報告会はボリュームもありつつ、一つ一つの内容が濃かったので非常に満足。発表者の生の声は、ニュースサイトで上がっているレポート記事を読んでいた時とは違う印象で、現地の雰囲気を伝えてくれていました。

まずはレジュメはこんな感じです。

GDC2010報告会
■日時:4月3日 13:00〜18:30
■レジュメ:

  1. IGDAのアップデート情報・ソーシャルゲーム関連紹介(新清士)
  2. 男性にも女性にも人気が出るゲームの根拠セッションから&GDCパンの結末(大前広樹)
  3. ローカライゼーションサミット概要。文化変化の実状(小野憲史)
  4. 多様なゲームの可能性〜米国におけるインディーズを中心に〜(井上明人)
  5. 大型タイトル関連のセッションから(佐藤カフジ)
  6. ビジュアルアート系セッションから〜技術より手法〜(岩出敬・田中雄介)
  7. 先端グラフィックス関連技術セッションから(西川善司)
  8. 具体的な事例報告が増えたAIセッションから(三宅陽一郎)

今回はノートPCを持ち込んでいたので、話している内容の書き込みがメモできたので、上記の中から2つ位は、公開出来るようにまとめたいなと思っています。その中でも1つは決定していて、新さんのソーシャルゲーム関連の報告がガチで面白かったので、まずはそれをまとめてみました。

IGDAのアップデート情報・ソーシャルゲーム関連紹介」

  • IGDA日本の状況説明
    • IGDAGDC報告会は今年で9年目、9回目の開催
  • 参加者アンケート(挙手による)
    • 席は満員。ほぼゲーム開発関係者。
      • プログラマ中心(6割くらい?)
      • プランナー数人
      • アーティスト(3割ちょっと?)
      • 学生(ほぼいない)

新さんのGDC雑感

  • セッションの雰囲気から、マーケットが日本とか別物になっていると実感
    • 中心に動いているのは、FaceBook
    • 2億4千万人のユーザーを抱えている、Zynga
    • EAに買収された、Playfish
    • Rockyou
  • GDCは前半2日で、専門性の高い、サミット&チュートリアル
    • 去年の参加者、1万7千人
    • 今年は1万8250人
  • 原因はソーシャルゲームの盛り上がりと、ビジネス用途での参加が多かった
  • ゲームコネクションという、B to Bの商談イベントの参加者が去年と比べて倍増
    • E3が商談の場所でなくなってきているので、GDCにシフト
    • ビジネスとして、重要な場所になってきている
  • GDC全体では約450のセッションが開催
  • ソーシャルゲームの決定的な変化
  • 数の論理・ユーザーの規模が違う
    • 任天堂のゲームだと、昨年3月にNintendoDSが1億台越え
      • 現在1億2千万台程度
      • ここまでで、4年3ヶ月かかった
    • Facebookは5年経たないうちに、4億という数字
      • その中でメインでゲームをプレイしているのが、2億人
  • Facebookのプラットフォームマネージャが公開した資料
    • Your Real Identity Online
      • オンライン上に自分たちの持っている個人情報・データ・友達の情報・プレイ履歴、色んなデータが集積されている
      • これらの情報を活用出来るプラットフォームが勢力を持っていて強い
    • デイリーアクセスは、2億人を超える
      • 一日の滞在時間は55分間
      • 相当ヘビーなユーザーが多い
    • 今までの100万本ヒットとかと比べて規模が違う
    • また、プラットフォームという言葉からして、Facebookは自分たちが”プラットフォーム”であると強く認識し始めている
  • Facebookコネクト
    • FacebookAPIが無料で公開されているので、自由に使うことが出来る
    • ディナーダッシュ(Diner Dash)というゲームは、アプリのダウンロード型のサービスを提供している
    • NintendoDSiでも、Facebookに対応していいる
      • アメリカ法人の要請
      • DSiで撮影した写真をFacebookに投稿することが出来る(mixiなどにもアップできる)
    • PS3も対応
    • iPhoneでも対応
  • これらはマルチデバイスプラットフォームと呼ばれている
    • Facebookを中心として、ユーザーの様々なデータを集積して利用出来るようになっている
  • これらの現象から、彼らは何が言いたいのかというと...
    • 数の論理でいくと、コンシューマーのデバイスよりも、クラウド型のFacebook。自分たちの方が上だ。という明快なメッセージ
  • 去年まではFacebookを使うとタダでプロモーションが出来るとかいうアピールだったが、今年からはFacebook自身が強烈なアピールを出している

ソーシャルゲームインサイドの調査結果

  • 各国のプラットフォームトップシェア調査
  • IBMのエンジンを利用して、データを集積
    • ロシア・中国・日本・フィリピン以外はほとんどの地域がFacebookがトップシェア
    • この数字が伸びているので、Facebookユーザーが4億人という数字がたたき出されている
  • 増加したユーザー層のデータ
    • やはり若年層のユーザーの伸びが大きい
    • とはいえ年齢層の高いユーザーの伸びもある
      • 年齢層の高い女性ユーザーの伸びもある
  • Facebookのユーザー年齢構成
    • 中心は10代
    • 30〜40代の社会人層でも3分の1位以上の人数がいる
    • 年齢層に偏りが無く、収益が出しやすい
  • ソーシャルゲームランキング
    • トップはZyngaの「Farmvile」
      • ユーザー数は、8000万人
      • このゲームスタートから一週間で1000万人を超えた
      • 8000万人のオンラインゲームとか想像出来ない(新さんの嘆き)
    • ユーザー層の中心は、北米・ヨーロッパ。アジアでも着実にユーザーを獲得している
    • 今我々は日本にいるが、ちょっとやそっとではひっくり返せないような規模の差がついている

アイテム課金市場

  • Facebook クレジット
    • Facebook内で課金決済をする仕組み
    • 今までは、全てゲームを提供しているパブリッシャーなどが課金のシステムを用意しなければならなかった
    • Facebookクレジットは、手数料三割で利用できる
      • iPhoneと同じビジネスモデル
  • コレが拡大していくと、Appleにとっても驚異・ゲイツマネーにとっても驚異になる
    • eコマースに広がる可能性を、Facebookは想定して進行している。
  • クラウド型ゲームサービスへの移行は、もう進行を止めることが出来ない
    • 綺麗なグラフィックスのものと、ソーシャルなゲームとでは勝負にならないのではないか?
      • グラフィックスは勝手に進化していくので今のうち
  • 現在彼らが徹底してやっている事
    • ユーザーのインタラクションは分析して当たり前
      • ユーザーがどのようにふるまって、どんな所で面白いと感じるのか?
      • インタラクションを記憶しないのはアホだ。と言っている
    • 売れるか売れないか漠然とリリースしているゲームはアホ扱い
  • ソーシャルゲームは、全てユーザーのインタラクションをトラッキングする事が出来る
  • アンチャーテッド2でも、2年間の開発で150回程度ユーザーテストを行った
    • 自分たちの作り上げたインタラクションが、正しいのかを検討した
  • ユーザーを分析する・数を集めるというのはまずやらなければならないこと
  • コレが究極までいったもの
    • どのユーザーとどのユーザーが、どういうコミュニティを形成しているかを可視化したグラフを作成するアルゴリズムを開発
    • そのユーザーがいなくなると、いくらの収益がなくなるか、金額が明示的に分かる
    • なので、そのユーザーには手厚いフォローを行わないといけないとか…。

ウィルライトの講演

  • 今年のGDCで見えたものが、ソーシャルゲームの勢いが凄い!ということがわかったのだが、それともう一つ明確にわかった事が、この先どうなるか分からないという事
  • ウィルライトは今まで、UGCのビジョンを出したり、プロシージャルのビジョンを出したりする、名物となる講演
    • ただ今年に限って、最終的なビジョンの発表がなかった。
    • 今までは未来を予想することは簡単だったが、現在の状況では誰にも予想出来ない環境になってしまっている。
  • それが、現在のゲーム業界の現在の状況を表しているんじゃないかと思います。

まとめ

この報告については自分の中でも、まだ頭の中が整理できてません。どう考えたらいいものか…。また、考えまとまればブログで書いてみます。

あと、今回の報告会参加者の中には「帰ったらレポート上げます」とつぶやかれていた人も多かったので、他の参加者の状況見て、上がってないものがあれば、上げていこうと思います。全ての報告でをメモで溜め込んでるので。(そのおかげで、手首が痛い…、うぅ。)ただ、最後に行われた、AIのやつはほぼ理解できなかったので、あれだけは無理だと思いますが…。

追記(4月5日13:00)

はてブで意見があったので追記。新さんの講義ではこういう結論になってましたが、他の方の報告ではソーシャルゲームについて、別の見方をされていたのでそちらも時間があれば、レポート書きます。