AUJ2011 Dragon's Dogma ゲーム開発事例 レポート

昨日に続いて Doragon's Dogma ( 以下 DD )の開発事例のレポートです。講演冒頭 TGS2011 で発表されたティザームービーが流されました。

2011/09/20 09:00


概要

  • DD 内のアニメーションは、標準体型( 男・女 )のキャラクターで全て制作されている
    • 主人公キャラのエディットへの対応・400種類を越えるNPCへの対応
    • フェイシャル・ボディとも標準体型からの、リターゲッティング
    • Softimage上で組んだエディットシステムをベースに、実機へ移植している

講師

  • 株式会社カプコン
    • ディレクティング室 ディレクター
    • 柳原 孝安 氏

インゲームでのキャラクタエディット説明

MTフレームワーク上でのキャラクターエディットツールの紹介。
下記動画はインゲームのものですが、編集イメージは近いと思います。

体型
  • 身長
  • 頭の大きさ
  • 手・足・胴体の長さ
  • 手・足・胴体の太さ
    • スケール XYZ
  • 足の幅(付け根)
  • 特定部位の誇張
    • 腹を出す・胸を大きく
  • 胸位置の変更
    • 乳首の位置を左右に広げたり

エディット出来る範囲は、ストッパーが設けられており制限がある

  • 眉毛
    • 移動
      • テクスチャのUV値の変更
    • 目全体の大きさ・角度
    • 黒目の大きさは別で調整
    • 左右別々にカラー変更 ( オッドアイも可能 )
    • カラー変更

  • まつげ
    • 長さ
  • 顎( アゴ )
    • 細い・太いあご
    • ケツあごも可能
    • 大きさ
  • その他
    • 顔の下半分を伸ばしたり・縮めたり
      • イメージ的には、クシャおじさん・帝都大戦:加藤
  • 髪型
    • 数十種類のパーツを用意
      • シミュレーション用の骨仕込み済み
      • パーツ毎の大きな変更はできない
    • カラー変更
    • エディットした頭の形に沿う
  • ヒゲ
    • パーツ
    • カラーエディット
    • 顎のエディットに沿う
  • 傷・ホクロ
    • テクスチャのパターンを用意
    • テクスチャデカール
    • 顔にも体にも貼れる
  • 化粧・タトゥー・民族的なボディペイント
    • テクスチャのパターンを用意
    • アイライン
    • カラーエディット
      • パターンを選んだ後色替え
  • エディット補助機能
    • 顔の骨 : 70〜80本
      • それらを一つずつ動かして、顔の編集を行うのは困難
    • 補助機能 : ミラーリング
      • 左右別々でも可能。
      • 独眼なども作れる
    • 補助機能 : 簡易リグ
      • 骨を動かしたら、周りの骨も動く
      • 唇をいじると、頬の肉も連動
      • 目をいじると、頬骨が連動など
ノーマルマップのブレンド
  • 筋肉質 <-> 凹凸が無い ( 脂肪が乗っている )
    • ボディのノーマルマップの強弱で調整
  • 若い <-> 老いている
    • 顔のノーマルマップの強弱で調整
  • 顔は年齢。体は筋肉量。
    • メモリの関係上割り切ったが、必要十分だと考えている
エンベロープの最適化
  • 全ての編集を終え"決定"ボタンを押すと、エンベロープを一体化する
    • エディット専用骨を削減:250本 → 170本
    • 実機上で行う (PS3 / XBOX360)
      • 上記動画(1分50秒辺り)のエディット決定後に行っているものと思われます。

Softimage と 実機へのエディットデータの相互利用について

  • MTフレームワーク上で動作する、キャラクターエディットツールの試作はまずSoftimage上で行った。
    • Softimage上でシミュレートした計算式を、MTフレームワーク上に移植
    • 実機ではIKを使っているので、肘・膝の位置変更はしなかった
  • Softimageでエディットしたものと、MTフレームワークでエディットしたものは同じ結果になる
    • 編集したファイルは .xml ファイルで保存しておく
    • 作業がプランナでも行えるようになった

エディット後のキャラクターにも使い回せる、アニメーションの管理方法

  • 体・顔とも、標準体型( 標準くん )でアニメーションを制作
    • エディット( 体型・フェイシャル )キャラでも使い回しできる
    • 標準体型より目が細いキャラクタにエディットしても、まぶた同士がめり込まない
      • 元の標準顔からの変形値を常に持っており、アニメーションデータに掛け算して再計算
  • キャラクターデザインが決まらず、アニメーションがつけれない状態がなくなる
    • 標準体型でアニメーションを制作すれば、エディット後の動きは保証する
    • DDに登場する主人公・NPCは全て標準体型でアニメーション制作されている
フェイシャルキャプチャ
  • カットインイベントにおいて、フェイシャルキャプチャを使用
    • フェイシャルキャプチャーデータを標準顔にセットアップ
    • そのままでは、アクターと、インゲームキャラの顔の形状が違いすぎる
      • 初期位置の差分をオフセット
      • マーカのトランスレーションだけを利用する
    • アクターの表情の強弱については、顔の部位毎に係数を掛け算
      • 強弱をコントロール ( FaceRobot の Tune のイメージ)

NPC の膨大な数のリップシンクデータの自動生成

  • 今回のセリフ量は150万文字
    • 全てをフェイシャルキャプチャー不可能
  • MTフレームワーク上で音声ファイルからアニメーション作成
    • BATファイルでの処理が可能。帰宅時に走らせておけば、翌日出来ている
アニメーションの使い回し
  • 歩いているアニメーション中に、スケールをかけるデモ
    • スケールしても足がすべらない
    • 大きいキャラは歩幅が大きいので移動距離が長い。逆も然り。
モーションフィルタ
  • 一つのモーションにバリエーションをつける計算式を開発
    • 男らしい <---> 女らしい
    • 猫背 <---> 背を逸らす ( 太った人 )
    • 疲れた <---> 元気
  • 男らしさ・女らしさとは?
    • 単純にガニ股・内股にしても違和感が残る
    • 男らしさとは、任侠映画のイメージ
      • 上半身の動きを抑える
      • 腕の振りを大きくする
      • 腰を落とす
    • 女らしさとは、スーパーモデルのイメージ
      • 鎖骨の動きを大きくする
      • 腰のひねり・横移動を大きくする
  • イメージ優先!
  • モーションブレンドでも同じ事が出来るじゃないか。と言われた事があった
    • 確かに、参照するデータを用意すれば可能ではある
    • ただ、参照するデータ全ての準備・調整などを考えると作業があふれる
  • またベースモーションに変更が生じたら、全てモーションを修正しないといけない
    • アクションゲームなので「ジャンプまで、3f伸ばして」などは開発終盤まで起こる
    • モーションブレンドでは、修正作業が膨大になる

キャラクターエディットできる主人公の体型変更による特殊なイベントツールの説明

  • 注視点と、カメラの位置を変える
    • キャラクターエディットしたキャラクターでも見きれない・めり込まない
      • 注視点は極力ターゲットを見たまま
      • カメラの位置はキャラのエディットを反映
  • 210cmのキャラならカメラも見下ろす。140cmなら見上げるなど大きさにあった演出となる

以上。