ホッタラケのセミナーに行ってきました。その1
今回のセミナーは「エンドクレジットを読み解く」と題して、エンドクレジットで流れる各職制の仕事内容を説明していく内容でした。
全体的に、とてもわかりやすく説明していただけたおかげで、映像業界の分業体制や、役割・責任の持ち方に非常に興味を引かれました。いやぁ、やっぱり違う業界のお話は面白いですねぇ。でも、どこまでブログで書いて良いんでしょうか?もし「書きすぎぃ」とか「そこ秘密!」とかあれば連絡下さい、直します(^^;
では、ざっくりレポートです。
まずは初めにホッタラケの島の概要説明がありました。
制作布陣
- IGFXと、ポリゴンピクチュアズが中心となり制作
- ポリゴンピクチュアズだけで約90名参加
アニメーション
- 全て手付け
背景
- 3割が2Dの背景美術
- 7割が3Dでモデリングされた背景
制作期間
- 公称4年となっているが、実質1年
アニメーションが全て手付けなのはポリゴンさんの強みを活かした体制でしょうか。アニメーターとしては非常に羨ましいー。あと、1年で映像が出来上がったというのは、よほど体制・役割がキッチリしていたんだと思います。その辺りはセミナー終わった後、色々考えていく内になんとなくわかってきました。
概要説明が終わった後は、実際に映画で使われたエンドクレジットを流しながら、各役職の役割を読み解いていきました。アニメの制作工程については学生の頃に勉強したつもりでいましたが、各職制の役割については曖昧に考えていました…。無知をさらけ出すのを承知で、気になった職制をいくつかピックアップしていきます。
演出
- 監督の意向を汲んで、現場に情報を伝える
- 脚本から、絵コンテを起こす
- イメージボードの作成
- フィルムが上がるまでの、全ての工程のチェック
- 音声収録に立ち会う(アフレコ・SE)
- 映像の編集
ゲーム業界でいうとディレクターにあたるのが監督で、企画職が演出なんですね。まったく理解していませんでした…。漠然と絵コンテのみかなぁと思ってたんですが、チームの中心的な重要な役割なんですね。
遥デザインスーパーバイザー
- 主人公「遥」の表情集の作成
- 3Dのフェイシャルの参考用の表情集作成
主人公「遥」の表情のコンセプトは、アニメーターの方に表情集を依頼していたそうです。この辺の判断は素晴らしいと思いました。なんでそう思ったかは、後でまとめます。あと、ここで驚いたのですが、参加されているのは映像関係の方だけかと思ってたんですが、ところどころアニメの方が参加されていて、かなりハイブリッドな体制になっていたんですね。もしかすると、こういうの普通なんでしょうか?
ヴィークルデザイン
- 登場する乗り物をデザインする役割
- デザイン画(2D)の作成
ここにもアニメの方が入っています。セミナーでは、実際にコンセプトアートを見れましたが、さすがに今までの積み重ねが違うなぁと感じました。やっぱり名前を良く見る方は凄いですね。
美術設定
- 背景のデザイン画(2D)の作成
- 高密度の美術の設定
- 背景にまつわる全てのチェックを担当
- 美術ボードの作成・色の方向性の作成
- テクスチャのチェック
- 背景3Dのチェック
- コンポジット後の背景クオリティのチェック
- テクスチャを描くのもする
両方とも、美峰さんが入ってます。しかも、背景をまとめる役割として参加しているのは驚きました。どういう体制だったんでしょう?同じフロアに出向してもらってたんでしょうか。それとも、違う場所で背景全般の管理をされてたんでしょうか。とっても気になります。
CG監督
- 2Dデザインが上がった後から、最終工程までのデータのチェック・レタッチ
- あらゆる技法・ワークフローの決定の場に立ち会う
- コンテマンの考え・演出意図を現場に伝える
今回のセミナーの講師の長崎さんが担当されていた役職です。ここで良いなと思ったのは、協力会社に投げる指示書の内容。全ては確認できませんでしたが、チェックの方法から、データの形式、データを作っていくうえでの注意事項、納品形態まで、ビッチリとが書き込まれていました。この辺、作業をしながらコンセンサスを取るのが良いかなぁなんて思ってたんですが、詳細なドキュメントがあるに越した事はないですね。ただメンドくさがってただけでした…。
リギングスーパーバイザー
リガーの方ってアニメーターの上に名前が来るんですね。ゲーム業界やと、たぶん逆転しそうな気がします。やはり、仕組みを作る人が上に来る感覚なんでしょうか。これは個人的に驚きました。
カラーリングスーパーバイザー
- 最終アウトプットの監修
- 撮影監督・色指定などの参考資料作成
ここもアニメの色指定の方が入っています。役割としては、2Dの背景と3Dのキャラの色味の提案や、色参考資料を作ったりということでした。たしかに、こういう職種の意見は欲しいなぁと思う事が良くあります。ゲームの色調整はキャラを目立たせて、背景からちょっと浮かせる感じにしたりするので、馴染ませすぎるとアカンのですが、「夕方の林の中で、影に入った時どんな色にしよ?」とか、悩んだ時に、ベースの色をビシッと提案してくれると、とてもありがたいし、大きく間違える事も無いような気がします。