サイバーコネクトツーさん独自の体制と、その核となる文化 (前半)

先週の金曜日、色々な縁が重なってサイバーコネクトツーさんに、交流会という名の飲み会を開いていただきました。

以前、このブログのエントリーでサイバーさんの体制を調査すると書いていたので「これは良いチャンスだ、クククク…。」とか思っていましたが、そんな自分のよこしまな気持ちが軽く吹き飛ぶような熱いお話を聞かせていただき、サイバーさんの開発体制の話を聞いてはヨダレがダラダラ、将来のビジョンの話を聞いては、自分の中でくすぶっていたやる気に点火されました。

今までサイバーさんの開発体制を紹介している記事をみつけては「なるほど。ウチにも導入や!」とか思っていたんですが、交流会の中で話を交えていくと、それよりも大事な考え方がある事に気が付きました。

今回は、サイバーさんの独自の体制を洗い出しつつ、自分が聞いた話などまとめてみようと思います。

独自の体制

まずはサイバーさん独自と思われる開発体制の紹介からです。以前からサイバーさんのサイトや10周年の冊子などで公表されていましたが、交流会で聞いた話などもふまえてまとめていきたいと思います。

トライファクター構造


トライファクター構造は、今回の交流会の中でも聞きたかったお話の1つです。

この体制は上記のWEBサイトからもわかるように、3人1組で集まりを作ることで、話しやすい体制を作り、出来る限りみんなの意見を集めようという事を目的として作られた構造のようです。時期としては初代 .hack の開発からほぼ全社的に取り入れられ、メンバーの意見をボトムアップで集める事を目的として運用されているようで、トライファクターの関係者は座席配置も近く(隣か後ろ)にするなど、何かあったらすぐに3人で打ち合わせができるような体制になっているようです。

確かに大勢が参加する会議などでは、積極的に発言するメンバーと、発言しないメンバーにわかれてしまう事がありますが、発言しないメンバーが面白いアイデアを持っている事も多かったりするので、それらを取りこぼす事なく集める体制だと考えると、非常に合理的な構造であると思います。三人というのは発言しやすい、ちょうど良い人数ですね。

ただし、トライファクター構造での区分けが難しい事もあり、アーティストは作業が分けやすいので3人組を組みやすいが、プログラマはシステムもゲームもネットワークも、一緒に情報を共有しないと効率が悪い、といった場合は4人1組、5人1組など体制を柔軟に組み換えを行っているようです。

以上のように、万能に感じるトライファクターの体制にも弱点はあるようで、今走っている新しいプロジェクトでは一旦利用を止め、新たな体制を築いているようです。具体的なお話は聞けませんでしたが、カバル式からインスピレーションを得た、ユニット制ということでした。(多分、将来的にどこかで情報が出てくると思うので期待したいです。)

特別ディレクション

経験に関係なく、その開発タイトルに対してどれだけ「情熱」を持っているか、どれだけ「おもしろさのポイント」を理解しているかを選考基準とし、松山とリーダーが評価を行い各プロジェクト毎に1名を選出します。

サイバーコネクトツー - 独自の体制

WEBページには上記のような記述があります。この項目についても、以前から興味を持っていたので、先日の交流会の時にお話を聞かせていただきました。

特別ディレクションの役割としては、ゲームを面白くする為の発言をするなら、どの職制の会議に出ることも許可されており「この時期やったら、もうシステムも変更できないし、大体こんな感じの仕様になるんじゃないかな?」といった予定調和な考えを、「あと○ヶ月でマスターというのはひとまず横に置いておいて、こんなシステム入れたら、絶対面白いですよね。」という事を提案できる、リベロ的ポジションの事のようです。

開発中によくある話として、1つのアイデアがあった場合、実はみんな保険をかけて「それは、今の時期じゃできないなぁ」と考えてしまう事も、実は工程を追って分析していくと「こういう手法を使ったら、短い期間で実装できる」とか「こういうトンチもあるよね」といった事がなかなか言えないまま、そのままゲームが完成してしまう。

そういう状況を避けるため、みんなの頭のを一旦リセットしてもらうために発言するのが、特別ディレクションの役割のようです。

自分はこの話を聞いたとき、なんて良いシステムなんだろうと思ったのですが、サイバーさん社内では不人気No1のシステムのようで、上のメンバーからは「グヌヌヌヌ…。俺らもそれやったらおもろいのわかってる。わかってるけど、今の時期にそれいうのは反則ちゃうんか…。」と思われ、下の人間からは「いきなり抜擢されても、何言ったら良いのか分からない・・・。」など、メンバーの気持ちとしては、中々複雑なようです…。

ただ、ゲームを面白くする為には必要な役職なので、このシステム以上に機能する代替案がないかぎり、運用を止めたりしないそうです。


また、このシステムについてはプロジェクトの中で色々な役職と話をさせ、経験を積ませることで、将来のディレクター候補を強制的に育成するシステムとしても機能しているようです。この役職で活躍して面白いゲームができれば、将来的にディレクターとして抜擢されても、納得しやすい状況を作ろうという役割もあるようです。

ゲームやろうぜCC2

定期的にゲームを購入し、プロジェクトメンバー全員でプレイする仕組みの事です。

各社でも毎週木曜日に誰かがゲームを買ってきては、その周りに人だかりが出来て、ゲームをプレイするってのはよく聞きくので、システムにしなくても良いのかな?と思っていたのですが、そこについても明確な理由があるようです。

まず一つ大きな理由としては、プロジェクトメンバー全員で共通言語を作ること。「あのゲームの〇〇システムを、もっとど派手にした感じ(すいません、内容は適当です…)」と話しただけで、みんなに内容が伝わり、意思の疎通をスムーズに、イメージする内容をブレる事なくする事が重要。との事でした。

例えばとあるプロジェクトでは、作っているゲームに必要だと思うタイトルは、REDMINEのチケットとして、プロジェクトメンバー全員に登録され、それがこなせていないと「なんでこのゲームやってへんねん?」と指導が入るような事もあるようです。

あとは、実際のプロジェクトの資料として、バトル中に武器を切り替えながらプレイするゲームを○タイトル購入とか、このゲームエンジンを使ってるタイトルを○本購入して遊ぶといった事が行われているようです。

サイバーコネクトツーの新卒課題

これはVitalsineさんのサイトでもまとめられており、自分はそこで知りました。

課題1(モデリング課題)

添付のデザイン画のキャラクター(男女いずれか一人)を忠実にモデリングし、質感やディテールを描き込んだテクスチャーをモデル全身に貼って作成して下さい。テクスチャーは1枚で全身を表現し、その中でUV アンラップによる使い回しをすること。

Bump、金属マテリアル等の機能ではなく、テクスチャーの描き込みで質感を出してください。アルファマップは使用可です。

背面等見えない部分は、前面とのバランスや規定ポリゴン数、テクスチャー容量を考慮して自分でデザインしてみてください。

モデルのポリゴン数は 3000poly(三角ポリゴン計算)以内で、シェイプモデルは不可。テクスチャーのサイズは512×512 pixel の256 色で作成し、以下のフォーマットで提出して下さい。武器の有無や種類は自由で、前述の制限に含みません。

サイバーコネクトツー - 新卒採用/グラフィックデザイナー

上記が新卒のグラフィックデザイナー向けの課題の一つですが、学生あがりの課題にしては具体的な内容になっており、それこそ学生時代にある程度ゲーム作りの勉強をしていた、即戦力のみをふるいにかける内容です。

しかも、モデルとモーションを課題として上げている事から、今持っているデザインデータを製作する能力を満遍なく読み取れるようにしているところも見逃せません。

では、いきなり上記の課題を新卒のメンバーに出すのかというと、そこはサイバーさんが毎年行われている、単独会社説明会でフォローしているのでは無いかと思われます。(こちらの内容は後半でまとめる予定です。)


あと、学生時代に絵ばっかり描いていた美大上がりの学生などはどうするのか?その場合でも、ハードルは高めですが募集の窓口は用意されています。

基本的に3D作品の応募が条件となっておりますが、2D作品のみの応募でも構いません。 その際の事前連絡も必要ございません。 ただし、2D作品のみでもこちらが採用したくなるようなクオリティを求めます。 またクオリティを保って物量をこなせるかということも重要になってきます。

サイバーコネクトツー - 新卒採用/2D作品のみの応募について

この事から、サイバーさんが求めるアーティストの基準がよくわかります。

ある程度、業界の経験を積むと、漠然と”デザイナー募集してます。能力がわかるものを提出してください”と書かれていても、じゃあコレとコレ送ろ。となるのですが、学生からすると、それだけ書かれても全くわかりませんから、具体的な基準を提示する事は、お互いにとって良い結果を残すものだと思います。

その他

その他にもいくつか面白そうなものもあるのですが、すでに長くなり始めてるので、今回は列挙するだけでとどめておきます…。詳細をご覧になりたい方はリンク先の記事で確認できると思います。

CC2東京スタジオ

ここでは、サイバーさんの東京スタジオについての体制をまとめています。

少し前のファミ通でも巻頭でスタジオ設立の特集されていたのですが、このスタジオについても、サイバーさん独自の考え方が発揮されています。

東京と福岡の連携

この体制については、こちらの図http://www.cc2.co.jp/recruit/?page_id=530が非常にわかりやすくまとまっています。

では何故、このような体制を取っているのかというと、ファミ通の記事で松山さんが語られていた内容が非常に分かりやすかったです。

松山 : 我々は福岡の弱点を誰よりもわかっています。人材がいないんですよ。福岡の人たちは勉強熱心で、技術交流会を開くとたくさんのクリエイターが集まるのですが、プレイステーション3やXbox360の最新技術の講演をしても、「遠い将来役立つかもしれませんね」という話で終わってしまう。それが、東京にはたくさんのパブリッシャーさんやデベロッパーさん、出版社さんなどがある。私たちはバンダイナムコゲームスさんと仲よくさせていただき、技術交流もさせていただいております

週刊ファミ通(7/15号) 巻頭特集

東京を”フロント”、福岡を”セントラル”として考え、情報を積極的に行うフロントと、今まで通り強力にゲーム開発を推進していく部隊をセントラルとして位置づける。その中で積極的に情報を共有して、技術情報を貯めていこうという試みのようです。なので福岡は福岡、東京は東京と、別々の開発部隊で別々のゲーム開発を進めていくという事ではなく、上記の図でも書かれているように、一つのプロジェクトが走った時には福岡で60名、東京で10名など、お互いのスタジオで人員を割り当て、プロジェクトを回す中で情報共有を図っていく。という構想のようです。

ただ、やはり物理的な距離はあるので、それを緩和するシステムとして、次で説明するCC2 Windowというものを利用するようです。

CC2 Window

通称”窓”と呼ばれる、2つのスタジオ間をつなぐ、リアルタイム映像配信システムのことです。

開発室は1つだという考えのもと、お互いの”今”を共有しようと言うシステムで、システムの詳細については、サイバーさんのブログでもレポートされています。http://www.cc2.co.jp/blog/?p=2878

また、この窓の利用方法はもう1つあり、東京スタジオにお客さんが訪ねてきた時に、関わりのあるメンバーが福岡にいる場合などにも、お互いが窓の前に立って簡単な自己紹介をするなど、物理的な距離感の軽減にも役だっているようです。


あと、交流会の中で、これを利用して打ち合わせも行うのか?といった質問をしたのですが、基本的に窓はそういう使い方を想定しておらず、打ち合わせや議論については、各会議室に設置されたTV会議システムを利用しているようです。

なので”窓”は、名前通り窓としての役割を担うもので、互いの物理的な距離を縮める役割に特化したシステムのようです。

出版

CC2 Store

自分もCC2Storeを利用し、.hackの設定資料を購入していたりしますが、その時に「どこで編集してんのやろ?」と思って巻末をみて驚きました。サイバーさんが独自に編集して、独自に出版しているのです。

先日の交流会の時にその話を伺ったところ、DTPに強いメンバーが社内にいらっしゃるようで、その方と松山さんの2人で、1年かけて1冊づつ設定資料を作っているとのことでした。

何故、社内で設定資料を出そうかと思ったのかを尋ねたところ、理由としては開発会社が深く関わっている設定資料がとても好きで、例えばゲームに登場するキャラクターが、どういう経緯を経て、そのデザインになったのか、最初のコンセプトはどこだったのかを見ることができるのが、すごく役立つ。なのでサイバーさんはほぼ100%、自力で編集し出版をしているようです。(売り上げ的にも上々なようです。)

確かに、最終的な画像だけを集めた画集と呼ばれるものも嬉しいですが、昨今出版されたベヨネッタの画集のように、最初のコンセプトから、完成デザインまでの経緯がわかると、デザイナーの考えや迷いなどがわかって、より満足度が高くなります。

この辺りの感覚は、とてもよくわかりますが、自分達でやってしまおうという所まで考えがいたってしまうのが、凄いと思います。

前半戦のまとめ

というわけで前半戦は以上です。後半戦は大枠は書けているので、できるだけ時間を開けずにエントリーにしたいと思います。

内容的には、

  • 積極的な情報発信
  • 制作したゲームを盛り上げる試み
  • 福岡ゲーム産業振興機構とGFFの活動
  • 以上の事から見える、サイバーさんの核にある考え方
  • こぼれ話(?)

について書こうかと思っています。


また、先日の交流会の最後でサイバーさんから「今日の話は、Aquさんの好きなように書いてもらって良いですよ。自分たちは何も隠す必要がないので任せます!」と言われたのですが、その話すらサイバーさんの体制を表しているような気がします。

その勢いと自信、非常に羨ましいです。

では、また後半書きます。

後半へ続く >>

ブレイブルー CS 「eスポーツイベントを意識した、格闘ゲームのゲームデザイン」

昨日、京都の立命館大学で行われた、eスポーツのイベントに参加してきました。

内容はブレイブルー CONTINUUM SHIFT(以下、ブレイブルーCS)をテーマに、京都のゲームセンターa-choさんが解説・アナウンスを行うゲーム大会と、ブレイブルーCSの開発者によるゲームデザインについての講演でした。特に格闘ゲームの人口拡大についての話と、現在の格闘ゲームの認知を広げようという動きは、なかなか相性が良いんじゃないかな。と気付かされたイベントで、参加して良かったと思います。

概要

日付 2010年6月12日(土)
時間 13:00〜17:30
場所 立命館大学 衣笠キャンパス 充光館301号室
レジュメ 第二部:ブレイブルーCS スペシャルマッチ(一回戦・準決勝)
第二部:ブレイブルーCS「eスポーツイベントを意識した、格闘ゲームゲームデザイン
第三部:ブレイブルーCS スペシャルマッチ(決勝戦・エキシビジョンマッチ)

その中でも、第二部のブレイブルーCS開発者による、ゲームデザインについての講演が面白かったので、そちらの内容をまとめてみました。

第二部:ブレイブルーCS「eスポーツイベントを意識した、格闘ゲームゲームデザイン

講師

eスポーツとは?(配布されたフライヤーから抜粋)

  • eスポーツとはElectronic Sportsの略語で、競技性の高いTV・PCゲームを使ったエンターティメントの総称
    • アメリカ・ヨーロッパだけではなく、韓国・中国で盛んにeスポーツイベントが行われている
    • IntelDELLなどの企業がスポンサーとなって、総額賞金8000万円の「Intel Extreme Masters」のような大きな大会も開催されている
    • 実際、プロプレイヤーとして年収一億円のプレイヤーもいる
  • スウェーデン・韓国・中国にはプロリーグが存在する
  • 日本はゲーム大国といわれながら"eスポーツ後進国"と言われている
    • 日本でのeスポーツ普及に向けて、2007年に「日本eスポーツ協会設立準備委員会(JASPA)」
    • 2009年に「日本eスポーツ学会(JESS)」の設立など、国内でも動きが始まっている
  • 2009年6月、早稲田大学が国内初となる大学生による大会、早稲田eスポーツ選手権を開催
  • 同年、立命館大学も西日本初となる、eスポーツイベントを開催
    • 今回のイベントは第二回となっている

講演内容

ブレイブルー CSを作るときに意識したこと
  • 前作のユーザーも大事だが、新規のプレイヤーの増加を意識して作っっている
    • ビギナーモードの搭載
最近の格闘ゲームは先鋭化されて来ている
  • 格闘ゲームはギャラリー受けする反面、自分がプレイするというモチベーションが湧きにくくなってきている。
    • 見る専(ギャラリーオンリーのユーザー)の増加
    • どうしても、プレイしてもらう事のできるような取っ掛かりを作りたかった
  • ギルティギアは、上手い人のプレイを見ていると面白いが、実際対戦すると太刀打ちできない
    • 見ていて楽しいのはもちろん重要だが、敷居が高くなってしまう事に不安もあった
ギルティギアゲームデザインから大きく変わった事
  • 液晶モニタ採用による、ラグ・遅延との戦い
    • ブラウン管時代から流行っているジャンルなので、やり込むと1フレームの遅延が気になってくる
      • FPSなどはオンラインが中心となって流行したので、その辺りを考慮したゲームデザインになっている
  • ブレイブルーは先行入力を簡単作ったシステム
    • 硬直中にボタンを入力していれば、入力を受け付けてくれる
      • ラグを意識した作り
    • 目押しコンボなどはラグのある環境では難しい
家庭用で入ったシステム
  • チャレンジモード
    • 段階を踏んで、コンボを練習するモードとして設定
      • 最初はヌルく、最後はマゾく
    • ゲーム内で、コンボのリプレイ(解答)が確認できるモードの実装
      • 「技の羅列を見ていてもわからん」といった事を、実際のコンボを見て「なるほど」と納得してもらう
  • チュートリアルモード
    • レイチェルによる、手取り足取り操作を教えてくれるモード
      • 歩きなさい。しゃがみなさい。相手の攻撃をガードしなさい。など格闘ゲームの基本操作から学べる
    • 初心者を救済できるようなシステムとして搭載
      • Aボタンを押したら攻撃が出るよ。
      • ガードってどうするの?
      • 下段って何?
      • 中段って何?に答える
    • 格闘ゲーム初心者・やったことがない人の気持ちになった
      • 自分も昔は、ガードの仕方もわからなかった…。
    • 格闘ゲームユーザーからしたら「常識やん!」って事を噛み砕く
      • 最初から、対戦をして、負けると萎えちゃうので、一から格闘ゲームの"いろは"を教える
    • これから格闘ゲームをやろうという人の間口になれば良いと思う。
格闘ゲーム人口が少なくなってきている
  • 格闘ゲームをただ単に発売するだけでは流行らない
    • どうすればゲームセンターに戻ってきてくれるのかを考えた
  • 格闘ゲームは敷居の高いものではなく、楽しいものだという事を伝えたかった
  • まずは、注目されるモノにしようと考えた
    • 声優目当てでも良いが、ブレイブルーに注目を持ってもらいたい
    • ストーリーモードを作り、キャラクターを立てる
  • そこで引っかかったユーザーにまず動かしてもらおう、でもなんだかわからん???という、状態を無くしたかった。
    • 格闘ゲームとはなんぞや?というものを説明したかった
      • とはいえ、専門用語が多い
      • それを救済するシステムとして、チュートリアルとチャレンジモード
既存の格闘ゲームユーザーを、ブレイブルーに引き込む要素はあったか?
  • 上記の要素以外でいうと、多彩なユーザースキルに応じたキャラクターを用意した
    • ハザマ
      • 見た目が新しいが、作りはガチガチの格闘ゲームユーザ向け
      • 鎖を使った移動は、すぐには使いこなせるようには思えない
      • ただ現在はキャラ使用率10%超と人気がある
    • ツバキ:初心者向けとして作った
      • ツバキはツバキで、ころもこん?の研究が進んでいる
      • ↓↓B(ガード不能)が使い易い
      • 相手の起き上がりに重ねると、それなりに戦える
      • ただ、次への課題はある
F1乗りばっかり集まって車を作ると、結局F1を作っちゃう
  • 自分達は、みんなが乗れるスポーツカーを作りたい
    • 先鋭化すると、誰も乗れないものが出来上がる
  • ギルティギアは、フォースロマンキャンセルが出来ないと話にならない
    • でも、あのゲームの最大の面白さは、間違いなくフォースロマンキャンセル
      • それが敷居の高さにつながり、ユーザー数が減っていった
  • それが嫌で今回は調整したつもり
  • 格闘ツールとして突き詰めて行き過ぎるとマズイ
    • 将棋やチェスなど、力量が互角に近い状況にならないと、始まらない状況にするとマズイ
    • 将棋・チェスは、歴史と遊ぶ人工の数が多いので成り立っているが、格闘ゲームはそういう状況ではない

eスポーツとしての発展を考えたゲームデザイン

ブレイブルーCSの醍醐味
  • オンラインの環境は、胸を張ってよく出来ていると言える
    • この環境を利用して対戦の面白さを感じて欲しい
スポーツとして発展させるには、スター選手がいないとしんどいかもと考えている
  • 野球でも、サッカーでもそう
    • ルールを知らなくても、選手の活躍を見ているだけで、楽しめる環境が必要ではないか
  • スト4の梅原くんはプロになった
    • そういう選手が出てくると広がると思う
一番の理想は闘劇などのイベントを全国ネットTVで中継する
  • TVで試合を観て、そこで活躍している選手に憧れを持ってもらえる
    • あの舞台に上がりたいと思ってくれる環境づくりを考えていきたい
とにかく人口を増やさないといけない
  • どんなに上手い人間がいても、それが2人しかいない。だと話しにならない
  • 上手・下手は、ひとまず置いておいて、それが千人いるのか?一万人いるのか?その方が重要
    • 今はやっとそこを改善するべく歩みだした段階
    • まだ初期の初期

質疑応答

講演の最後に、参加者のみなさんから質疑応答の時間が設けられました

Q : ビギナモードで気になった事
  • "ビギナーモード"とつくと初心者がやりたがらないことが多い
  • だいたい、初心者は普通のモードをやって、玉砕することが多いがそれをどう思うか
A : おっしゃられる通り。社内でももめた
  • オートマチックモードでもいいんじゃないかと、思っていた事もあった
    • 自動車でいうと、オートマから、ミッションにレベルアップしていく様な感じ
  • 正直、いろいろ検討した。
    • アーケードで出した時は、アーケードの都合上こういう形になった
  • ただ、載せないより載せる方が良いという決断
    • よりより形を模索中。最初の一歩になればよいかと思っている。
Q:新しい客層を求めるという点では、アーケードと家庭用で求める客層は違うのか?
A:昔は違ったと思う。でも今はそんなこと言っている場合ではない
  • 今は分けて考える余裕がなくなっている。興味を持った人に一人でも、二人でも間口に入ってもらいたい。
Q:使っていて楽しいキャラ
A:基本全員好き、強いて挙げるなら
  • Pachi 氏
    • 最近好んで使うのは、ハザマ・ラムダ
  • モリ 氏
    • 好き:白面
    • 使っていて楽しい:ラムダ
    • 対戦していて楽しいのは:ジン
Q:アークシステムワークス以外で、好きな格闘ゲームは?
A:色々あそんでいるが、強いて挙げるなら
Q,家庭用のオンラインが流行ると、ゲーセンにこないのではないかという心配がある
A:それはそのとおり。
  • ただ、まずは人口を増やさないといけないので、家庭用で対戦の面白さを知ってほしいという狙いはある
  • アーケードは、アーケードでしか味わえないライブ感がある
    • それはそれで強力な強み
    • 格闘ゲームユーザーなら、両方味わって欲しい

以上。

Alan Wakeのメイキング動画と、使われたテクノロジー

昨日、会社の後輩に「Alan Wakeのメイキングがとても良かったですよ〜」的な事を聞いたので、帰宅してからメイキング動画を検索してみました。

いくつか見つかったのですが、その中でも特に面白かったものが下記の"Alan Wake: Building the Technology"です。今回は下記の動画で出てくる要素を書き出してみようと思います。

Alan Wake_ Building the Technology

この動画では、Alanwakeで使われた技術や手法の紹介を簡潔に説明されています。元々開発会社のRemedy Entertainmentは、ベンチマークソフトFinal Realityの開発を行っていた方々のようで、ゲーム中で利用されているテクニックは「テクデモ?」と思うような贅沢な作りになっているものがある様です。

ENVIROMENTS AND SCALE

Alan Wakeで登場する背景は実在のオブジェクトに基づき、ロケハンした資料を元に制作を進めたようです。

この方法はフォトリアルなゲームでは非常に有効で、キャラクターも実在の人物をそのままCGモデルに落とし込んでいるようです。(はちま起稿さんに掲載されていた画像)

ちょっと前に書いたKILLZONE2の制作事例でも、そのような手法がとられていたので、最近事例が増えてきているのでしょうか?(余談ですがSIRENシリーズも主人公から、村人から実在の人物を資料にしてたのを思い出しました。一番最初に見たのは、あれかもしれません…。)

BUILDING THE WORLD

マップエディタの作業動画です。ペイント機能で地形をモリモリしたり、草を生やしたり、UDK、Cryengine的な編集機能が揃っているようです。ここでは写っていませんが、イベントなどの設定などもできたりするのかも知れません。

あと、UDK触ってると思うのですが、ゲームデザイナが一番最初に制作するベースメッシュが、遊びの要素として重要だと思うのですが、その段階をこのエディタでやっているのか、DCCツールからデータをエクスポートして作業するのか?その辺りも気になります。

RENDERING AND POST-PROCESS

ポストエフェクトなどのウォークスルー映像です。同じマップで、昼から夜から、霧の濃さなど変わる様子を見ることができます。詳しい設定などは、次の"WEATHER AND TIME"で出てきます。

WEATHER AND TIME

マップの気候と時間を編集するツールです。スライダだけで天候・時間、あらゆるものが変わるようで、リアルタイムでの環境変化は今まで見たことが無い、柔軟なエディタのようです。下記に簡単にパラメーターを抜き出してみました。

Ambience System
Fog Color R
Fog Color G
Fog Color B
Fog Intensity
Particle Color R
Particle Color G
Particle Color B
Particle Intensity
Moon
Moon Color R
Moon Color G
Moon Color B
Moon Intensity
Wether
Cloudiness
Fogginess
Rain Intensity
Wind Strength
Storm

特に凄いのが一番下の"Wether"カテゴリ、"Cloudiness"パラメーターで雲が立ち込め、"Wind Strength"で風の強さが変わり、Maxまでスライダーを移動させると雷が発生するようです…。テクデモ映像などでは見たことある様な気もしますが、ゲームで見たのは初めてです。

また、パラメーターのページ数が"5/10"とあるので、他にも様々なパラメーターが用意されているようで、非常にリッチなエディタのようです。

CHARACTERS AND MOVEMENT


ここでは、キャラクターへの照明と、モーションのキャプチャーシーンが収録されています。キャプチャーシーンは、よく見る映像なので置いておいて、キャラクターのライトの設定は、なかなか面白いです。

light
CINEMATIC LIGHT 1
CINEMATIC LIGHT 2
Enable Light
Visualize
Cast Shadow
Follow Pelvis
Camera Alignes
Color R
Color G
Color B
Intensity
Target X
Target Y
Target Z
Heading
Pitch
Cone Angle
Depth Bias
Slope Bias
Rig Offset

キャラクターの照明をスライダでいじるんですが、あまり直感的じゃ無い気がしますが慣れでしょうか?

あと、"Visualize"、"Heading"、"Pitch"など、「何に使うの?」というようなパラメータがいくつかあります。最後にチラッと映る"Rig Offset"というパラメーターも、ちょっと分からないです…。これについては、近くにいるプログラマさんに聞くのが良いかもしれませんね…。自分も会社で聞いてみます(汗)

メイキング動画その他

上記以外のメイキングシーンもなかなか面白かったので、よければあわせてご御覧下さい。




以上です〜。

サンジゲン 「フルCGリミテッドアニメーションへの挑戦」

昨日に引き続きAutodesk Design Innovation Forum 2010 のセッションレポートを書きます。

今回は映像会社のサンジゲンさんの、3DCGを利用したリミテッドアニメーションへの挑戦についての内容です。後半の内容(カットごとの単価など)については、完全にノートに取りきれなかったので、割愛しています。

追記 (2010年6月3日 13:20)

スギログさんでも、Autodesk Design Innovation Forum 2010のレポートが上がっていましたので、併せてご覧いただくと良いと思います。

概要

サンジゲン 「フルCGリミテッドアニメーションへの挑戦」
会場で紹介されていた3Dリミテッドアニメ


はじめに

サンジゲンの目標
何故、フルCGリミテッドアニメーションなのか?
  • 海外ではフルアニメーションが主流だが、日本では予算の都合などでリミテッドアニメーションが主流になった
    • リミテッドアニメーションは独自の表現を生み出し、既に馴染み深い表現になってしまっている
    • キャラクターに感情移入する際の障壁もあまり無い
  • 最近話題の3D(立体視)にも、3Dモデルを利用しているので対応しやすい

→自分たちに刷り込まれた、リミテッドアニメーションには、重要な機能があると確信

3DCGでリミテッドアニメーションをやろうと思ったきっかけ

リミテッドアニメへの試み1
  • 完成された既存のアニメを3DCGのキャラでトレースする実験
    • 3dsMaxのBipedを使用
    • マテリアルのフォールオフでセルの塗りを調整する
    • Illustrate!でライン出力
  • 20カット程繋いでテストしてみた

→この手法は意外といけると確信

リミテッドアニメへの試み2
  • フルコマ・2コマ打ち・3コマ打ち・2コマ3コマの使いわけ
  • 動画部分の自動計算を極力減らし、全てのコマで「意図した絵」を表示する

→3Dのアニメーションでありがちな、機械的な中割りを廃止し、全ての人間の目で判断して決めていく
→この方法を強いる事は、CGアニメーターを育てる上でも非常に重要

コストマネジメント

コストマネジメントの考察1
  • 一般的な深夜アニメ、1話辺りの予算は1000万〜1300万程度(作品によってもまちまち)
    • ここから、監督・デザイナー・背景美術・編集・音響費等々が引かれて、600万が残る
  • 1話に必要なカット数は300カット平均必要となる
    • 1カット辺りの単価は2万円

→ビジネスとして成り立たせるには、1話を600万円で製作する事が必要となる

コストマネジメントの考察2
  • モデリングのコストの問題点と解決方
    • 現代・近未来物以外は、全て新規でモデリングが必要
      • 他作品で使用したデータをアレンジして使用
      • 市販のモデリングDBの活用
  • 特殊なキャラクター・衣装はコストがかかる
    • リファレンス化を前提にコストを見積もる
製作期間

2クールもの26話であれば、16ヶ月かかる計算

  • 1話あたり製作期間が、1.5〜2ヵ月かかる
    • チームを4ラインに分割しローテーションで製作
    • 1ラインが6、7話分担当する計算

人員采配のマネジメント

三次元の三種類のディレクター
  • マネジメント・ディレクター(ラインディレクター)
    • 現場の進捗状況の管理
    • スタッフ管理
    • 設定の管理
    • 人員采配
  • クリエイティブ・ディレクター
    • 絵作りの統括
    • 人材育成
    • 作画監督レベルのスキルが必要
  • テクニカルディレクター
    • 社内ツールの整備を行い、生産効率を上げる
    • 作品ごとには置いていない
    • 現在の会社規模だと、1人いれば十分
1ラインの内訳
マネージメント・ディレクター 1名
クリエイティブ・ディレクター 1名
3DCGアニメーター 5〜6名

※3DCGアニメーターはモデリング・アニメーションまで行う

  • 2ヶ月で300カット(1話分)必要
  • 1ラインの目標
    • 1人辺り、月産18.8 〜 25.0カット
工程別の分業制について

サンジゲンでは、工程別の分業性を排除している

廃止した理由
  • クリエイティブな視点
    • 原画・動画・撮影などの工程にも関わる
  • マネジメントの視点
    • セクショナリズムの発生を押さえる
      • 「これは私の仕事じゃないから」を廃止
    • モノのやり取りのロスの方が大きい
カットごとの分類
略称 内容 詳細
T 止め 静止画1枚で、動くモノが無いもの
TA 止めアニメーション 止めだが一部がアニメーション(ヘリのローターなど)
A1 level1 アニメーション キャラクターが1人登場するカット
A2 level2 アニメーション キャラクターが2人登場するカット
A3 level3 アニメーション キャラクターが3人以上、またはそれ以上
BG 背景 背景のみのカット
BANK バンクカット 変身・合体など、毎話使い回しするカット

今まで担当したカットの分析

略称 カット数
T 43
TA 47
A1 128
A2 60
A3 30
BG 7
BANK 11
Total 326
スキルごとの役割
経験年数 担当するカット種別
新人(1年未満) T / TA / BG / BANK
若手(1〜3年未満) TA / BG / BANK / A1
中堅(3〜5年未満) A1 / A2
ベテラン(5年以上) A1 / A2 / A3

※スキルにより変動することもあるとの事です

今後の展開

キャリアパス
  • 作画と3Dリミテッドアニメが違和感なく、CG画面内で混在させる
  • CGアニメータの熟練度を上げる
    • 制作費、制作スケジュール
  • CG・作画ハイブリッドアニメーションを製作する
  • ビジネスとして通用する、フルCGリミテッドアニメーション

→しかし、最近は各アーティストの味を出せるところまで熟練度が上がってきている

この先は...

今後は、作画ライクでもアニメでもない、独自の新しいアニメ表現にたどり着きたい。そのため、現状はフルCGリミテッドアニメ表現を実現し、土台作りをしているが、その上にこそ、ビジネスとしても成り立ち、世界でも通用する新しい表現が実現できると確信している。

以上、ほとんどノートからの書き起こしですが、レポート終了です。

内容的には、3Dのリミテッドアニメーションを製作する為に技術を蓄えるとともに、コストのマネジメントも真剣に考えているようで、キチンと手堅く考えてるな、という印象でした。サンジゲンさんが将来的に目標としている、全編3Dリミテッドアニメの製作も不可能ではない。そう思わせてくれる内容でした。

今後も、この会社には注目していきたいですね。

アンチャーテッド2 「キャラクターアニメーションパイプライン」

本日 Autodesk Design Innovation Forum 2010に参加してきました。
今回のセミナーはアタリの内容が多かったのでかなり満足しています。ただ、唯一安藤忠雄さんの基調講演を見れなかったのが残念。大阪から東京に行くと朝9:00開始の講演は辛いですねぇ…。


今回はその中でも一番注目していたNaughty Dogのセッションのレポートを書きます。このセッションはGDC2010で講演された内容を要約した内容だったのですが、若干内容が削られていたのが残念でした。ただ、最後の項目にある"In the Future"は今回のセッションのみの内容だったので、そこは新規の情報になると思います。

追記 (2010年6月2日 13:00)

gamebusinessさんにも、レポートが上がったようですので、併せてご覧いただくと良いかも知れません

概要

アンチャーテッド2 キャラクターアニメーションパイプライン
  • Naugty Dog Lead Character Technical Director
  • Judd Simantov さん
レジュメ
  • Uncharted 2 トレイラー
  • キャラクター制作プロセス (Character Creation Process)
  • リギングプロせス (Rigging Process)
  • アニメーションプロセス (Animation Process)
主に解説していたソフト
  • Autodesk Maya
  • Autodesk Mud Box

Character Creation Process

コンセプトアート
  • どんなキャラクターかを決めこむための工程
    • どんな動きなのか、性格はどうなのか、大部分を決めておく
  • モデリングの参考になるものとしても制作(正面・横面・背面)
Base mesh(Clean Quad mesh)
  • スカルプティング時にサブディビジョンで破綻がでないよう、全て四角形ポリゴンで整えたメッシュ
Hi-rez mesh
  • 高解像度モデルのスカルプティング
    • Mudboxで制作
テクスチャリング
  • スカルプトのOKが出たら、そのままMudbox上でテクスチャを描き込む
Game mesh (Arbitrary Game Mesh)
  • ゲームに最適化したメッシュ
  • Hi-rez meshを下地にリトポロジ
  • この段階では、三角形ポリゴンが入っても良い
UVの配置
  • Mudboxで作成したテクスチャを参考に、Maya上でUVの展開
  • 利用するツールはMayaのプラグインと、自前のカスタマイズ
    • UVのリラックス機能・プロポーショナル選択での有機的なUV座標の移動
  • UVレシオ ツール
    • UVのテクスチャ割り当ての大きさを調節するツール
      • UVを設定した後に、各UVエリアのテクスチャサイズを均等にしてくれる
NormalMapの焼付け
LOD(Level of Detail)
  • インハウスのカスタムツールを制作
  • ジオメトリを迅速にポリゴンリダクション
    • ポリゴンを減らす割合(60%削減)なども決めれるようである
  • 同じmeshから、低ポリゴンのデータを制作できて効率的である

→UVレシオ ツールは、ロードキルツール。LOD制作ツールはSoftimageのポリゴンリダクションに似ているなぁという印象。

Rigging(リグビルドプロセス)

  • Uncharted2では、三種類のRigを利用した
    • Game Skelton
    • Animation Rig
    • Mocap Skelton
Game Skelton
  • 実際にゲームに使用するスケルトン構造
    • 男性・女性・クリーチャー、すべて共通の骨を利用(ローテートが同じ)
    • 理由としては、1つのRigで全てのキャラクターを編集するため
Animation Rig
  • アニメーターが動かすためのRig
  • Game Skelton を制御するための構造
MocapSkelton
  • Mocapデータを流し込むための骨
  • アニメーションRigに焼き付け、編集できるようにするための構造で、このRigをコントロールするワケではない
Automatic Rig Builder
  • 正しくRigをビルディングできる仕組み
Rig Customizaion
  • アニメータごとにリグをカスタマイズできる仕組み
    • コントローラーを、透明にしたり、可視化したり
    • コントローラーのタイプ・形状を変更(シリンダー・カーブなど)できる
Historyツール(Save Skinning Information)
  • 履歴を蓄えておける仕組み
    • 頂点のウェイト情報などを蓄えておいて、meshのトポロジが変更されても壊れないようにする
FaceSetup
  • フェイシャルの制御は、ジョイントベース
  • 顔に使用している骨は97本
  • これらをRigを利用して制御している
  • 制御はブレンドシェイプ
  • またRigを利用する事で、リニアではない補完を可能にしている
コンビネーションスカルプティング
  • 顔のアニメーションの反転ができるなどいろいろできる
  • ブレンドシェイプのミキサー
Fixer
  • 顔の形状を保つための機能
  • ブレンドシェイぷのミックスでできた、おかしな部分を適正値に戻すツール
  • 実践では、片方の広角を上げてニヤッとした顔と、笑った顔をBlendした時のほっぺたの異常な膨らみを、Fixerを利用して修正
  • 実際にどういう技術なのかは分かりませんでした。
Wrinkle Map
  • 2種類のノーマルマップを用意して
    • 骨の動きでマップの透過率をドリブン
      • EAさんのDVD・UFC2009のセミナーでも採用されていた方法

Historyツールは、SogtimageのGatorのような仕組みにみえましたが、UIなどを簡略化し使い易いシステムになっている印象

Animation Process

Character Manager
  • ネームスペースの一貫性を保つためのツール
    • いろんなデータを利用する時に崩れがちなネームスペースを、規約に基づき変換

 

Animation Library
  • ゲーム中のアニメーションデータ、Mocapデータが一つのライブラリに登録されている
  • サーチ機能も充実している
  • ソーティング
  • レイティング
    • アニメーターがレーティングを決める
  • 誰がインポートしたのかもわかる
  • コメント機能
トレース(Mocap→AnimatinRig)
  • Mocap Skeltonに流し込まれたモーションに、Animation Rigを追随させ、モーションを焼き付ける
    • フレーム間の設定
    • 焼き込むステップも決めれる
  • これを利用すると、Animation RigでMocapデータのコントロールができるようになる
Key Frame Tools
    • コントローラーのセレクトツール
    • Rigのセレクションリストが表示される
    • お気に入りのコントローラーの、グループ化も任意で行える
Prop Tool
    • キャラクターが持つ小道具のためのツール
    • 小物・銃などのコントローラー(拡張Rigのようなもの?)
IK Arm Context
    • Animation is always in FK
    • IKとFKが混在するのは、キーフレームのマネージメントが大変なので、
  • FKを使う時は、FKをIKのようにコントロールできる、コントローラをつける仕組み
      • FKにIKをつけるのでカーブはFKのまま

In the Future

Uncharted2では利用しなかったが、将来的に利用したい要素

Muscle System
  • Mayaのデフォルト機能でもあるが、ゲームでは使えない
  • リアルタイムで動き、カスタマイズしやすい機能
  • ジョイントのロケートを、MuscleSystemで制御したい
  • まだまだ検証中
Sketch Tool
  • 最近完成
  • Mayaのシーンの上に直接、手描きでスケッチが出来るツール
    • これにより、修正指示が直接書き込める
  • 線の幅を変えたり、線の色を変えたりする機能もある
  • フレームごとに書き込めるので、アニメーションの各フレームごとにしじを出すことも可能
  • カメラを動かしてもカメラに追随する

→Muscle Systemで流していた映像は、かなり低ポリゴンのオブジェクトを利用するようだったが、動きは筋肉っぽかった

まとめ

全体的に、手堅い技術で手堅いクオリティを維持しているような印象で、キャラのモデリングも、リギングも納得のパイプライン。個人的には、最後のIn the Futureで紹介されていたSketch Toolが非常に好感触。これはライムラインを持つDCCツールには是非標準機能としてつけて欲しいですねぇ。シーン上に直接指示が書き込めるのは、メンバーに意思を伝える時の効率が格段に違う気がします。特にアニメーションとか…。

あとは、Muscle Systemも興味あるなぁ。まだキッチりとMuscle Systemを導入しているゲームを見たことないですからね。非常に興味あります。